さかた塾中学部ブログ

旧・さかた塾中学部の19年度、20年度ブログです。最新のものは「進学塾ライトアップ」のHP( https://lightup-onomichi.com/ )をご覧ください!

【雑談】リニューアルされた原爆資料館に行ってきました

みなさん、こんにちは!

 

さかた塾中学部、代表の西川です。

 

本日もテスト対策にたくさんの生徒さんに

利用して頂きました!

 

火曜日から定期テストの皆さんが、

しっかりと普段通りの力が出せるよう

陰ながら応援しています。

 

明日も14時から教室を開けますので、

スト2日目の勉強に

ぜひ教室を利用してください!

 

 

10/14の午前中は、

近大東広島の入試担当の方のお話を伺いに、

広島市内まで行ってきました。

 

 

本来であれば、高校情報の記事を

先に出すべきなのですが、

 

それよりも、今私が感じている

別の衝撃を伝えたい

という気持ちになりまして、

順序が逆になってしまうのですが、

先に原爆資料館に行ってきたお話を

したいと思います。

 

 

私学フェスタ2019という

以前福山で開催された、

私立高校の合同入試説明会が

この度広島市内でも開催されました。

 

その会場が、国際展示場という

平和公園内にある施設でした。

 

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せっかく広島市内、しかも平和公園に行くなら、

リニューアルした原爆資料館を見てみたい!

 

ということで、

私学フェスタの開場時間よりも

1時間ほど早く平和公園に行って、

原爆資料館に行ってきました。

 

 

hpmmuseum.jp

 

 

ご存知でない方もいらっしゃるかもしれませんが、

実は原爆資料館こと、広島平和記念資料館

かねてより改装工事を行っており、

2019年4月25日に

リニューアルオープンしたばかりでした。

 

 

私も尾道出身ですので、

当然社会見学や遠足などで、

原爆資料館は何度か訪れていますし、

社会人になってからも2回ほど

見て回っています。

 

 

ですが、今回はリニューアル後

初めての訪問だったので、

どんな風に変わっているのか

興味がありました。

 

 

結論から言いますと、

以前までと比べて大きく変わっています。

 

そして、本当に素晴らしい、意味のある

リニューアルと言えると思いますし、

リニューアル前に行ったことがある、

という方もぜひもう一度行ってみてほしいです。

 

 

以下、リニューアルされた点だったり、

改めてすごいなと感じた点などです。

 

 

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①音声ガイド+日英中韓の4か国語表記

これは以前から一部導入されていた部分も

あるかと思いますが、

私が記憶している2008年ごろには、

まだ日本語と英語の表記しかありませんでした。

 

日本の戦争に関して、色々な意見があるにしても

「原爆の悲惨さを2度と繰り返してはならない」

という部分には、

世界中のほぼ全ての人が賛同できるはずです。

 

そういった意味で、こうやって少しでも

多くの言語に翻訳されているのは

素晴らしいことだと思います。

 

実際に音声ガイドを聞きながら、

神妙な顔をされている外国人の方々が

たくさんいらっしゃいました。

 

唯一の被爆国として、

その悲惨さをきちんと後世の、

それも世界中の人々に

継承出来ているこの資料館を

とても誇らしく感じました。

 

 

 

②展示の構成が変わって、

 より強い印象が残るように

これも本当にすごい工夫だと思うんです。

 

以前の原爆資料館で、

特に印象に残る展示といえば、

焼けただれた皮膚のまま歩く被爆者を模した

3体のマネキンでした。

 

記憶に残っている方もたくさんいると思います。

実はあのマネキンはもう撤去されてありません。

 

撤去に関しては、賛否が分かれていましたが、

私は今回の展示を見て納得でした。

 

 

皆さんに少し思い出してみてほしいのですが、

以前の展示のときは、

あのマネキンをはじめとする数々の展示を見て、

出口付近では、もう精神的にクタクタでは

ありませんでしたか?

 

そして、その出口付近に展示されていた

被爆者の証言を基にしたイラスト、

被爆者のコメント、

これをちゃんと見る精神力は残っていましたか?

 

正直、私はあまりちゃんと見ていませんでした。

 

 

けどそれって、

本当にもったいないことだったんですよね。

 

当時の人たちに、

原爆後の地獄がどのように映っていたのか

私たちが追体験できる貴重な機会のはずなのに、

その貴重な資料があまり有効に使えていなかった。

 

 

今回のリニューアルを機に、

そういったイラストや証言が

今までの見学ルートの前半に

多数展示されています。

 

 

原爆が落とされて、70年以上経ち、

残された血の跡は

もう黒ずんだシミにしか見えなくなり、

文字はかすれて消え、

銀行の階段に残された、

原爆で蒸発した人の黒い影も

今ではほぼ跡形も残っていません。

 

 

今までのリアルなだけの展示では、

風化が進んでしまって、

『色』が感じられない。

 

知らず知らずのうちに、

(不謹慎な言い方かもしれませんが)

インパクトが薄れてしまっていたんだなと

今回の展示を見て気づかされました。

 

 

ですが、被爆者の証言を基にしたイラストは違います。

 

「川にはおびただしい数の死体が浮かび、

 その死体が膨らんで、

 赤や緑や紫色に変色して・・・」

 

40万人以上いた人々のうち、

一瞬で14万人が死に、

その後の後遺症などを合わせて

20万人以上が死にました。

 

一緒に暮らしていた人が、

あなたの大切な家族が、

おぞましい変色した死体になっているんです。

 

イラストを見ながら、

その『色』を感じながら、

 

今まで資料館を訪れたときに

見ていたはずなのに、

改めて強烈なインパクトを与えられました。

 

 

おそらく、新たに色々な写真も

(特に今まで以上に強烈な写真が)

追加されているように思います。

 

あのマネキンを超える「現実」の恐ろしさを

強く感じました。

 

 

 

③今まで「隠されてきた被爆者」

 にも光を当てている

この点も私は今回のリニューアルの

特筆すべき点だと感じました。

 

以前、「主戦場」という映画を観た際に、

従軍慰安婦の女性たちが

 後だしジャンケンのように、

 1990年代に入るまで声を上げなかったのは、

 家族が性のはけ口にされたことを恥じて、

 声をあげられなかったからだ。」

 

という話がありました。

 

この話の真偽は置いておいても、

確かに自分の身内の「恥ずかしい」と

感じている部分に関して、

 

それがいくら歴史的に価値のある証言だとしても

声をあげるのにきっと時間がかかるはずです。

 

 

今回のリニューアルによって、

そんな今まで光を当てられてこなかった

「隠されてきた被爆者」にも触れられています。

 

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原爆の放射能の影響で、

知的障害をもって生まれてきたお子さんと

それを支える家族の苦しみ。

 

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原爆の影響で、引きこもり、

家から出られず、

周囲からも自分の子供からも

見捨てられ、崩壊していったある家族のお話。

 

そして、被爆者に対する心無い誹謗中傷。

 

 

直接体に受ける火傷や、放射能による苦しみ

だけではない、こういった苦しみを

被爆者の方々は抱えてこられたんだと思うと、

本当に辛い・・・

 

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それ以外にも、

異国の地で被爆した外国人の方々。

 

中には徴用工として、

自分の意志ではなく連れてこられた方も

いたでしょう。

 

見ず知らずの土地、

自分の言葉が通じない土地で、

このような地獄を味わったというのは、

日本人には無い

多くの苦しみがあったろうと思います。

 

 

以前までの資料館には無い

このような展示を見て、

原爆の歴史を伝えようと努力されている

歴史学者や研究会・郷土史編纂会の方々、

被爆者の方々とその家族、

またそういった活動を支援されている方々、

多くの方々の想いを感じることが出来ました。

 

ただ、資料が降って湧いて出た訳ではありません。

 

大切なものを残そうと

努力をされている方々、

 

隠しておきたい家族の秘密を

貴重な学びの機会を与えるために

打ち明けて下さった方々、

公開することを認めて下さった遺族の方々、

 

それを私たちにわかりやすく

伝わりやすい形で展示を工夫された方々、

 

そういった方々一人一人の努力の結晶です。

 

 

④その他の展示物にも工夫が

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ビフォーアフターをわかりやすく、

手で触って何かを感じさせる工夫。

 

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大きな画面で、タッチパネルを使い、

調べたいこと、気になったことに

きちんと応えてくれる工夫。

 

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時には壁に大きな映像を映し出したり、

原爆が落とされるに至った広島の時代背景や、

アメリカの外交文書を展示する工夫。

 

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『今』の私たちに出来ること、

『今』の世界の動きを見せる工夫。

 

本当に素晴らしい進化を遂げたなと感じました。

 

 

展示を見終わったあと、

うなだれてお父さんに背中をさすってもらっている

小学生くらいのお子さんもいました。

 

よく頑張ったね。

見てるだけでもしんどかったよね...

 

でも、君が見てきたことが

全部現実に、この広島で

起きてしまったことなんだよ。

 

それを知ることが出来て良かったね。

 

 

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2019年 10月14日

 

この場所で命を脅かされた全ての人々に対する

胸を強く突き刺すような記念館。

とても恐ろしい悲劇だ。

 

なぜ私たちは、人類の他の仲間をこんな風に

扱い続けるのだろう?

 

お互いを思いやろう。

 

外国人の方が対話ノートに残されたこのコメント。

 

私たち日本人だけではなく、

世界中の人に強く訴えかけるメッセージが

この資料館にあるんだということが分かります。

 

 

ぜひ、みなさんもこの素晴らしい資料館に

足を運んで、色々なことを考えてみてください。

 

 

資料館で売っていた本の中で、

気になる本も少しだけ、買ってきました。

 

教室に置いていますので、

興味があればぜひ声をかけてください。

 

 

・・・ということで、

以上が大人が本気の本気で書いた

社会科見学の作文でした。