さかた塾中学部ブログ

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【読書レビュー】浅見理都『イチケイのカラス』&【雑談】大学受験の文系・理系の話

みなさん、こんにちは!

 

さかた塾中学部、代表の西川です。

 

 

本日は福山で、ある私立校の説明会に参加してきました。

 

こちらの内容に関しては2,3日中に

しっかりとブログの記事にさせて頂きます。

 

本日は久しぶりに「お仕事系」のマンガを

ご紹介したいと思います。

 

 

 

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浅見理都『イチケイのカラス』

morning.kodansha.co.jp

 

 職業「裁判官」。仕事は人を「裁く」こと。

有罪率99.9%といわれる日本の刑事裁判。しかし、その判決を下す裁判官たちのことを知る人は少ない……。

特例判事補の主人公を中心に裁判所で働く個性豊かな刑事裁判官や書記官の人間ドラマを描く、裁判官が主人公のリーガル・エンターテインメント!!

HP 作品紹介より

 

塾の本棚には、

医療系のマンガはそこそこ充実しているのですが、

文系の職業ものが少ないと思いまして、

 

何かいい作品がないかと本屋を探しておりましたら、

気になるものを見つけてしまいました。

 

 

「文系」という言葉を聞いて

「???」となった

中学生の皆さんもいるかもしれませんので、

ちょっとだけ説明をします。

 

 

中学生の皆さんには、

高校受験の際には「第一志望は〇〇高校!第二志望は・・・」

という形で、「志望校=学校名」となります。

 

もちろん、尾道東のように

普通科」か「普通科国際教養コース」か、

あるいは私立の高校のように、

「特進クラス」か「進学クラス」か、

といった形で、

いくつかの選択肢の中から、

クラスやコースまで選ぶことはあると思います。

 

 

大学入試になるとこの選択肢が

とてつもなく増えます。

 

少しイメージしづらいと思いますが、

大学受験は、「〇〇大学△△学部」というように、

大学だけでなく、自分の研究したい分野の学部まで

選ばなければいけません。

 

 

ちょっと話は脱線してしまいますが、

この唯一の例外が、東京大学です。

 

東京大学は大学1・2年生の間は

教養学部」という同じ学部で勉強をし、

2年生の進学振り分けテストで、

正式に自分の進む学部が決定します。

 

だから東京大学は入試の際は、

「△△学部」という分け方ではなく、

「文科Ⅰ類」や「理科Ⅰ類」というように、

文系か理系かとおおまかな進路

によってしか分けられていません。

 

 

それ以外のほぼ全ての大学は、

大学名だけでなく、

学部までしっかりと選んでいないと、

「思ってたのと違うな」とか

「大学の授業、ものすごくつまらないな」という

状況になってしまうかもしれません。

 

 

ということで、高校生には

自分の行きたい大学の情報を

しっかり集めてほしいし、

まずは大学名にとらわれず、

自分の興味・関心のある研究分野というのも

少しずつ考えてみてほしいと思っています。

 

 

英語・国語・社会のような科目の研究をする場合は

文系の法学部・経済学部・文学部・外国語学

などを選ぶことになります。

 

数学・理科のような科目の研究をする場合は

理系の医学部・理学部・工学部・生物学部

などを選ぶことになります。

 

文系・理系以外であれば、

芸術学部や体育学部などもあります。

 

また、学校の先生になりたい場合は、

教育学部数学科」のように、

教育学部の中でも、自分の教えたい科目によって

文系か理系かがわかれています。

 

 

文系・理系それぞれどの学部が人気かというと、

理系は圧倒的に医学部です。

 

これは将来、医者になるための学部で、

医学部というだけで偏差値が10~20ほと上がります。

 

ですので、「岡山大学医学部」というのは

東京大学理科Ⅰ類」とほぼ同じ偏差値です。

 

各高校の進学実績を見てみても、

「医学部医学科」という部分だけ、

別格扱いになっていると思います。

 

それだけ人気の学部ですので、

医学部を目指すというなら、

「高校生活全てを勉強に振り切っても、

 合格できるかどうか・・・

 まずは理系で学年1位にならないとね。」

という世界です。

 

 

では、その一方で、

文系の人気学部はどこかというと、

これが今微妙になってきています。

 

昔は文系の人気学部といえば、

圧倒的に「法学部」でした。

 

法学部というと、法律の勉強をし、

将来は弁護士・裁判官・検察官になるしか

道がないと思うかもしれませんが、

実はそのパターンはあまり多くはいません。

 

それよりも、法学部から公務員を目指すというのも、

よくあるパターンのようです。

 

公務員になるためには、

公務員試験を受けなければいけないのですが、

その試験で法律関係の問題が出題されるので、

非常に相性が良い学部でした。

 

しかし、最近では公務員の待遇が見直され、

お給料が下げられたり、

仕事の量が増えたりというように、

大学生にとって法学部から先の進路は、

あまり魅力を感じられなくなっているようです。

 

 

ですので、もちろん今でもある程度は

法学部も人気なのですが、

 

最近では、一般企業に入社したときに

経済の仕組みが理解できているようにと

経済学部・経営学部・商学部などの経済系の学部、

 

英語を利用したい!

将来は外資系の企業に勤めて

海外で働きたい!ということで、

国語学部や国際〇〇学部のような外国語系の学部、

 

というのが人気になってきています。

 

 

新しい小学校の学習指導要領では、

ついに、小学校で英語が

「教科」に格上げされるようなので、

今後も英語関連の学部というのは、

人気のままかもしれません。

 

 

ということで、

そんな法学部に進学した後、

超難関の国家資格である司法試験を

クリアした人のみがなれるのが、

弁護士・裁判官・検察官という

司法関係の職業です。

 

(導入が漫画だったのに、

 ここまで全然関係のない話をしてしまいました笑

 ようやく戻ってきました・・・)

 

 

中学校3年生は夏期講習中の授業で、

裁判には「刑事裁判」と「民事裁判」という、

大きく分けて2つの裁判があるというお話を

したと思います。

 

イチケイ」というのは、

裁判所の「第一刑事部」の略で、

刑事裁判を扱っているところです。

 

テレビのニュースで取り上げられるような、

殺人事件などの事件を起こして捕まった容疑者が

有罪なのか無罪なのか、

有罪なら何年間刑務所に入れるのか。

 

それを判断する裁判が刑事裁判であり、

その判決を下すのが、

イチケイの裁判官である主人公、坂間真平の仕事です。

 

裁判官の仕事は世の中に

イノベーションを起こさないし

 

0から1を生み出して

人々を感動させもしない

 

日常的には地味で他人の目に

触れにくい…

 

でも…

確実に人々の生活に作用するし

ときには人生も変えてしまう

 

僕がしているのはそういう…

尊い仕事です。

 

主人公の坂間さんは非常にドライな人で

自分の私情を一切はさまずに判決を出す人ですが、

 

同じ裁判官の入間判事や駒沢部長の

裁判官としての考え方に触れ、

裁判官のあるべき姿というものは

どういうものなのか見直すようになっていきます。

 

 

法廷で本当のことを知っているのは

被告人だけです

 

裁判官も検察官も弁護人も

本当のことはわからないし

 

どういう判決をするのが正解なのか

誰も知りません

 

私たちは本当のことを知っている…

すなわち真実を知っている被告人に

判決を言い渡さなければならないわけで…

 

(中略)

 

ですがそれが面白さでもあるのですよ

これは主人公の勤めているイチケイのボスである、

駒沢部長のコメントです。

 

 

もしかしたら、自分が下した間違った判決で

無実の人の人生が大きく狂わされるかもしれない。

 

逆に、極悪非道な犯罪者を無罪にしてしまって、

野に放ってしまうかもしれない。

 

そう考えると、とてもじゃないですが、

真実が分からないのに

判決を出さなければならないことを

「面白い」とは思えないと思います。

 

 

おそらく、この駒沢部長のコメントの部分は、

作者の方が実際の裁判官の方から

聞いた話をもとに作られている部分だと思うので、

この境地まで達するにはどれだけ多くの人の人生を

見守ってきたのだろうと考えてしまいます。

 

 

全4巻であっという間に終わってしまったという

印象なのですが、後半の裁判員裁判編は

司法関係の仕事についていない私たちでも

もしかしたら、裁判員に選ばれて、

ある日誰かを裁く立場に

立たされるかもしれないと考えると

とても勉強になりました。

 

 

堺雅人リーガル・ハイや、木村拓哉のHERO、

アニメやゲームでいうと逆転裁判のように、

弁護士・検察官が主人公の作品はいくつかあります。

 

主人公たちが機転を利かせて、

絶対不利な状況から判決を逆転させるのは

すごく面白いですが、

 

裁判官はあくまで話を聞いているだけ、

ドラマチックな展開には到底持ち込めない。

 

一見すると主人公にはなりえないと思えてしまいます。

 

 

ですが、裁判官の「判決理由」の説明が、

被告人の人生を変えるほど素晴らしいものである

場合もあるんだなと、新たな発見がありました。

 

こちらを読んで、裁判の仕組みというのが

面白いと感じた人は、同じく裁判官が主人公である、

『家裁の人』も読んでみてほしいと思います。

 

 

興味関心を広げていきましょう!

自分の世界を広げていきましょう!!

 

ということで、

みなさんが呼んで面白かった作品などを

教えてもらえるのも楽しみにしています。

 

『京都寺町三条のホームズ』と

鬼滅の刃』は生徒さんに紹介してもらったので、

いつかはちゃんと読もうと思っていますので、

生徒さんと語れる日を楽しみにしています!