さかた塾中学部ブログ

旧・さかた塾中学部の19年度、20年度ブログです。最新のものは「進学塾ライトアップ」のHP( https://lightup-onomichi.com/ )をご覧ください!

【読書レビュー】鈴木るりか『さよなら、田中さん』&坊ちゃん文学賞について

みなさん、こんにちは!

 

さかた塾中学部、代表の西川です。

 

 

少し前から教室に、

ある本を置いています。

 

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2017年に出された

こちらの小説が

当時、巷で

話題になっていた理由は、

 

作者の方が当時、

中学2年生だった、

というところです。

 

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写真でみると本当にあどけないですね。

(現在は高校生です)

 

ですが、大人顔負けの小説を書く、

ものすごい作家の方なのです。

 

 

 

好きな作家が志賀直哉・・・渋い。

 

小4・5・6と3年連続で

小学館主催の『12歳の文学賞』の

大賞を受賞し続けている・・・すごい。

 

www.shogakukan.co.jp

 

14歳スーパー中学生作家、待望のデビュー


 田中花実は小学6年生。ビンボーな母子家庭だけれど、底抜けに明るいお母さんと、毎日大笑い、大食らいで過ごしている。そんな花実とお母さんを中心とした日常の大事件やささいな出来事を、時に可笑しく、時にはホロッと泣かせる筆致で描ききる。今までにないみずみずしい目線と鮮やかな感性で綴られた文章には、新鮮な驚きが。

 

 友人とお父さんのほろ苦い交流を描く「いつかどこかで」、

 

お母さんの再婚劇に奔走する花実の姿が切ない「花も実もある」、

 

小学4年生時の初受賞作を大幅改稿した「Dランドは遠い」、

 

田中母娘らしい七五三の思い出を綴った「銀杏拾い」、

 

中学受験と、そこにまつわる現代の毒親を子供の目線でみずみずしく描ききった「さよなら、田中さん」。

 

全5編収録。

 

実際に作品を読ませてもらいましたが、

破天荒なお母さんと、

主人公の花実ちゃんのやり取りに

非常にユーモアがあり、

 

単純な面白さと

 

こんなコミカルな描写を

中学生の子、いや、文学賞をとった時は

まだ小学生だった子が書けるのか、

という感心と

 

 

小学生・中学生の頃って、

高校生やそれ以上の大人が

自分よりもずいぶん立派な

雲の上の人みたいに見えていたけど、

 

この作者の方は、

そんな大人のことを

ちゃんと見透かしているな・・・

と少し恐ろしさと、

 

色々な気持ちで読ませてもらいました。

 

 

ウィキペディアを読んで、

家の隣に図書館があったのか、とか

 

プロット(話の筋書き)を書かずに

書き進めているのに、

最後にあんなに

きれいにまとまるのか・・・とか、

 

知れば知るほど、

すごい方だなと驚かされました。

 

 

印象的だったシーンを

ちょっとだけ紹介します。

 

 

主人公の田中さんのお友達、

三上くんが自分の通っている

塾について振り返るシーン。

 

塾側からは全く期待されていない。有名校に合格して進学実績を上げ、来年の生徒募集の吸引力になるような塾生には決してなれない。ステップアップだの実力強化だの逆転可能だのの惹句を並べて、一コマでも多く受講させ、授業料を搾り取るためだけの要因。

そんな扱いをされてまでなぜ行くのかというと、親が「子どもは塾に行っている。だから大丈夫」という安心感を得たいためだ。そのためだけに高い授業料を払っている。僕たちは、ただ座っているだけ。さっきからもう思考は停止している。

(p.191,192から引用)

 

同じ塾関係者として、

この登場人物の三上くんには

ちょっと申し訳なく思います。

 

もしかしたら、

私の塾にもこんな風に、

「親の安心のために仕方なく行ってあげてる」

と思わせている子が

いるかもしれないと思うと、

ちょっと背筋に冷たいものが走ります・・・

 

 

お母さんがお見合いに行くために

おめかしをしたシーンはこんな感じでした。

 

日焼けしすぎて、煎った豆みたいなお母さんが今さら日傘をさしてもどうなんだ、と思ったが、その姿はなかなか風情のあるものだった。

「夜目遠目笠の内」

おばさんがボソッと言って、ニヤニヤしていた。

(p.97より引用)

 

慣用句の知識も、比喩の使い方も

本当に普通の作家さんの普通の小説を

読んでいる感覚になり、

作者が中学生であることを忘れます。

 

 

私個人的には、この短編集の中では

 

お母さんのお見合いと、

大家さんの息子さんとのかけ合いが

魅力的な、『花も実もある』と、

 

表題にもなっている、

『さよなら、田中さん』

がお気に入りです。

 

 

ユーモアたっぷりの

面白い作品ばかりですので、

よかったら教室にある本を借りて、

お家で読んでみてください!

 

 

www.shogakukan.co.jp

 

鈴木さんはすでに

3作目を出版されているようです。

 

田中花実さんとお母さんのお話の

続編のようですので、

こちらも近日中に、

教室に置きたいと思います!

 

 

 

こんなの天才だから、

自分には書けない・・・

 

と思う中学生の皆さん。

 

 

 

同感です。

 

私にも書けません笑

 

 

 

でも、もしも、

自分もちょっと小説家とか

興味があるかな・・・とか、

 

そんな興味が湧いたみなさん。

 

 

 

いいものがありますよ笑

 

 

愛媛県松山市が主催する、

こんなコンクールがあります。 

 

 

bocchan-shortshort-matsuyama.jp

 

  「坊っちゃん文学賞」は、市制100周年を機に、近代俳句の父・正岡子規を生み、明治の文豪・夏目漱石の小説『坊っちゃん』に描かれた街という、松山市の豊かな文化的土壌を活かして、新しい青春文学の創造と本市の文化的なイメージを高め、全国にPRするため昭和63年に創設しました。その後、16回・32年にわたって継続し、受賞後も活躍を続ける作家や、人気作品を生み出してきました。
 令和という新しい時代の幕開けと共に「ショートショート」の文学賞にリニューアルした第16回坊っちゃん文学賞では、5,628作品ものご応募をいただき大きな盛り上がりをみせました。

ここはあなたの「文学の入り口」です。
皆様からのご応募をお待ちしています。

 

しまなみ海道を渡った先にある、

愛媛県の県庁所在地松山市

 

この市が主催する文学コンクールです!

 

 

 

最初に私が気になったのは、

このコンクールの「ビラ」でした。

 

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これは5年前のコンクールの

ビラだと思うのですが、

 

とってもセンスがいいというか、

 

文学とは何かということを

端的に表していると思います。

 

 

4000字以内で、

応募締め切りは9/30。

 

あなたの胸の内にある

「想い」を文字にしてみるのは

どうでしょうか??

 

 

中1のみなさんは、

入試で「自己表現」という名の

面接試験があります。

 

そちらでは、あなたが中学校生活で

頑張ったものは何かが聞かれます。

 

 

もし、文学に興味があるなら、

こういったコンクールに応募してみるのも

良いんじゃないでしょうか?

 

前向きな皆さんの活動を

ちょっとだけ期待しています! 

 

 

現在、無料体験生を募集しています!

 

ご面談で生徒さんの学習状況を確認したのち、

必要があれば簡単な補習などを行って、

そのまま授業に飛び込んでもらいます。

 

ご面談のご予約は

ホームページのお問い合わせフォーム

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(受付時間:火曜日~土曜日の14時~22時、

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