さかた塾中学部ブログ

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【雑談】「日本人は英語能力が低い」は恥ずべきことか?(前編)

みなさん、こんにちは!

 

さかた塾中学部、代表の西川です。

 

以前生徒さんたちに

ちょっと話を振ったことがあるのですが、

 

「日本人は英語が話せない」ということが

悪いのかどうか、

 

皆さんに少し考えてもらいたいと思っています。

 

 

まずは事実関係から。

 

www.nippon.com

 

 国際語学教育機関

「EFエデュケーション・ファースト」

(本部・スイス)の2019年調査によると、

英語を母語としない100カ国・地域のうち、

 

日本人の英語力は、

前年の49位より4つ順位を落として53位となり、

4年連続で5段階中4番目となる

「低い能力レベル」と認定された。

 

ということで、日本人の英語レベルは

外国と比べて低いようです。

(資料の孫引きで申し訳ありません。)

 

 

日本人の英語能力が低い理由は

色々と言われています。

 

 

一例としては、

 

①学校で行われている英語教育が悪いから!

②日本語と英語が違いすぎるから!

③日本は島国で外国との交流が薄いから!

 

などがあります。

 

 

③に関しては、

そんなの理由になりませんよね。

 

そもそも日本はアメリカと仲が良いのだから、

交流は盛んなわけで、その理屈だと、

日本人はみんな、英語が得意でないとおかしい、

 

ということになってしまいます。

 

 

また、世界を探せば、

日本人よりも英語が堪能で、

地理的に日本よりも英語圏

遠い島国の国だってあるはずです。

 

 

 

②に関しては、確かにその理由も

考えられます。

 

言語の発音には、

母音と子音というものがあります。

 

いわゆる「アイウエオ」の音が母音で、

母音以外が子音ですね。

 

日本語で認知されている母音の音は、

「アイウエオ」の5音ですが、

 

英語はなんと・・・

 

26音もあります。

 

発音記号 母音区別 単語の例
æ 短母音 apple
ʌ 短母音 fun
a 短母音 box
a: 長母音 father
a:r 長母音 arm
ə:r 長母音 learn
ə 短母音 about
ər 短母音 doctor
i 短母音 it
i: 長母音 easy
u 短母音 book
u: 長母音 noon
e 短母音 egg
ɔ: 長母音 ball
ɔ:r 長母音 more
ai 二重母音 nice
aiər 三重母音 fire
au 二重母音 now
auər 三重母音 our
ei 二重母音 make
ɔi 二重母音 boy
ou 二重母音 open
ju: 長母音 new
iər 二重母音 near
uər 二重母音 sure
eər 二重母音 air

 

https://english-learning-blog.hatenablog.com/entry/boin-siin

より抜粋

 

こちらが、英語の母音です。

 

 

これだけ母音の数が異なれば、

 

当然英語のリスニングも

意識して聞き分ける訓練をしないと、

きちんと英語を聴けるようにはなりません。

 

 

ちなみに、お隣の韓国語には

母音がいくつあるかと言うと、

 

 

なんと・・・

 

21音です。

 

 

つまり母音の数で言うと、

韓国語は日本語よりも英語に近いわけです。

 

 

だから、音声的な意味で、

韓国人の方が日本人よりも

英語を聞き取りやすいというのは

あるかと思います。

 

 

 

また英語が26文字のアルファベットに対し、

日本語はそれとはまったく異なる

ひらがな・カタカナ・漢字を使います。

 

 

同じくアルファベットを使う、

フランス語・ドイツ語・イタリア語・スペイン語

などと比べて、

文字の部分で日本は大きく異なっています。

 

 

さらに・・・

日本語と英語は、文法的にも異なっていますね。

 

「私はあなたを愛している」

のように、日本語は、

主語(S)→目的語(O)→動詞(V)とつなげる、

SOV型の言語です。

 

 

それに対して、英語は

‟I love you.” のように

主語(S)→動詞(V)→目的語(O)とつなげる

SVO型の言語です。

 

ヨーロッパ系の言語はほぼ英語と同じSVO型で、

日本の近隣国で言えば、中国語もこのSVO型です。

 

 

 

このように、英語と日本語の大きな違いが、

日本人が英語が苦手なことの

原因の1つになっているというのは

確かに考えられます。

 

 

 

では、最後に①について考えてみましょう。

 

これがよく言われているやつですね。

 

日本語は「読む」能力ばかり重視していて、

「聞く」「話す」「書く」といった

4技能をバランスよくやっていない!

 

文法ばかりの教育では、

英語を話せるようにならない

 

・・・とか言うやつです。

 

 

まず、これに関してはかなり間違っています。

 

日本の英語教育は「読む」偏重を

止めようということで、

 

もう20年以上前から「聞く」「話す」「書く」

などを重視するように言われています。

 

私が学生の頃から

「オーラルコミュニケーション」(英会話)の

授業はありましたし、

 

今の高校生の英語の授業は

「コミュニケーション英語」と「英語表現」

という名前で、

 

学習指導要領によると、

「授業は基本的に英語でやるのが望ましい」

と書かれています。

 

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2010/01/29/1282000_9.pdf

(高等学校学習指導要領解説 外国語・英語編)

 

 

尾道東校の普通科・国際教養コースでは、

英語でディベートをやるなど、

「読む」だけではない、英語を用いた

実践的な活動が行われています。

 

 

だから、日本人が英語を話せないのは、

 

学校の英語教育が悪い、

学校がちゃんとした取り組みを

していないからだ、というのは、

 

30年以上前の英語教育のことを

語っている浦島太郎状態の時代遅れの主張です。

 

 

ただし、学校の英語教育に

問題点があるとすれば、

 

「話す」能力を鍛えるという意味では、

1クラスあたりの人数が多すぎる、

というのは確かに当てはまると思います。

 

40人が一斉に会話の練習をしたとして、

その練習は本当に

生徒一人一人に合っているのか、

 

また生徒全員の能力を先生1人、

あるいはそこにALT(外国人の先生)

を加えた2人で把握できているのか、

 

という部分では大いに改善の余地があります。

(しかし、その改善のための予算は・・・)

 

 

では、

日本人が英語能力が低い理由は何なのか、

そして英語能力が低いことは悪なのか、

このあたりについては後編で、

もう少し考えてみたいと思います。